ルワンダ紀行 (4) - アボガドの思い出
2005.11.04
驚くほど爽快な目覚め。昨日までの重苦しさが嘘のように頭がすっきりしている。嬉しさがこみあげてくる。これでまた、旅立つことができる。
朝食をとり、ゆっくりと荷をまとめ、それからバイクタクシーで、キガリ市街のバスオフィスへゆく。うまい具合に、すぐにブタレへと向かうバスを見つけ、チケットを買ってこれに乗り込む。まもなくバスは出発し、美しい山道をすすみゆく。
2時間ほどでバスはブタレへと到着し、通りがかりの人々にたずねながら、宿へと行き、荷を降ろす。それから、すぐに外へ出て、町の外れ、西方に折れる地点でギコンゴーロ行きのミニバスを見つけ、これに乗り込む。
美しい田園風景、山並みを横目にミニバスはすすみゆき、やがて一時間ほどでギコンゴーロの町に到着した。それから、近くに待機している自転車タクシーの中から面白そうなおっちゃんを一人選び、彼の自転車の後部座席に乗って、目的地を目指す。
少し怖いくらいのスピードで坂道をかけおりていく。通り過ぎる人々、村、サッカーをして遊ぶ子供たち。やがて、目的地「ムランビ・ジェノサイド・サイト」へとたどりつく。
僕らは 誰もが罪深い
誰もが ここから逃れることはできない
それぞれの部屋一杯にしきつめられた 白く干からび ミイラ化した死体の数々
いくつかは 衣服や下着の痕跡を残し
その多くは はっきりと 表情を持って 固まったままだ
彼らはもう みずから動くことはない
あなたは何を訴える?
そのわずかに開いた口は 何を言わんとしている?
人はどれほど罪深く 忘れやすい生き物なのだろうか
いったいどれ程の人が ほんの11年前のルワンダの悪夢を心に深く刻みつつも生きているのだろうか
このきつく鼻をつく死体のニオイに包まれ
静かに眼を閉じ 彼らが生きていた頃の姿を想像してみる
呼吸をし 会話を交わし 元気よく動きまわっていた頃の姿を想像する
死体のただ中で しゃがみこみ 動かない人々を眺め それからまた 眼を閉じる
幼い子供たち 女たち 男たち
イギリス人の男が、撮っていいのか分からないけど、と言いつつ
死体の写真をひたすら撮りつづける
俺は決して彼らの写真を撮ることはない
それはやってはいけないことだ そう感じ、今でもそう思っている
男はマヌケな質問をガイドに問いつづけていた
彼らが去り、それから俺はこの村の生き残りで、この施設のガイドをしている男らとともにこの場を後にした。ゆっくりと坂を上っていく。子供たちが無邪気についてくる。女が背後から叫び、こちらにやって来る。
そして、赤い皮のアボガドを差し出す。それは、とても美味しかった。
それは、本当に美味しかった。
生きていることの幸せ。罪。欲望。幸福の味。
それから、とりもどせないものすべて。死。
泣くことはない、と頭の中で叫びながらも、涙は止まらない。
【バックナンバー】
・ルワンダ紀行 (1) - はじまりの日 ルワンダ上陸 -
・ルワンダ紀行 (2) - 不意の異変と人々の温もり -
・ルワンダ紀行 (3) - 夢うつつのラマダーン明け -
・ルワンダ紀行 (4) - アボガドの思い出 - <<
・ルワンダ紀行 (5) - 旅を噛みしめて -
・ルワンダ紀行 (6) - 明日のルワンダと -
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2006年07月06日 23:26 |
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